楽天は例えるなら不動産屋
楽天は実はECサイトというよりも箱ものなんです。
大きな建物を作って、その中に無数のショップが入っているような状態です。
楽天は自社での製品や在庫を持ちません。あくまで軸は楽天市場であり、楽天市場を軸としたポイント経済圏を作り出し、各分野に進出しています。
例えば、楽天モバイルや楽天銀行、楽天カードなど、楽天のサービスを使うことで、より楽天市場での還元率が上昇し、楽天ユーザーを増やすことができますし、一度楽天漬けにしてしまえば、ほぼ離れることはありません。
これらのポイント経済圏により、楽天市場には多くの人が集まります。そのため集客に苦労しているショップがお金を払ってでも楽天に出店するインセンティブを与えているのです。
このショップからの手数料が楽天の儲けにつながり、楽天ポイント経済圏を拡げるための資金にもなるわけです。
このビジネスモデルは不動産屋ディベロッパーに近いです。
大型の商業施設を作り、その中に店を入れてテナント料を取って利益を出しているのです。
楽天とイオンは全く同じビジネスモデル
これは楽天だけでなく、実はイオンなんかも実質的には不動産業に近いところがあります。
要するに、サービスで人を集めて、その集客力を他企業に貸し出して収益を得るというビジネスモデルなのです。
イオン銀行やイオンモバイル、WAONポイントなども楽天と類似していますよね。
楽天のポイント戦略とイオンのポイント戦略は全く同じなのです。
非常に優れたビジネスモデルだと感じますし、何より、自社での商品販売や製品開発をしなくても良いので、在庫リスクを抱えるリスクもなく、安定的に収益を伸ばすことができるのです。
イオンは小売なので販売や製品開発は行いますが、イオンモールを軸とした不動産ディベロッパーとしての側面が強く、楽天と似ています。
Amazonには勝てない
このようなビジネスモデルは非常に優れています。楽天やイオンなどの成長ぶりを見ればよくわかります。
このようなビジネスモデルとして、Amazonにもマーケットプレイスという同様の機能があります。
また、Amazonは自社のサービスや製品を開発して積極的に売り出しており、小売業でもあり、クラウドなどのITサービス業、kindle fire、Amazon echoなどの製品を作るメーカーともなっています。
Amazonは他を圧倒するECサイトのトップ企業です。消費者に苦労を与えないサイトデザインや膨大なビックデータから消費者の趣向に合わせたリコメンド機能を備えています。
やはり、ECサイトと言えばAmazonというように、多くのユーザーから絶大な支持を得ているだけの魅力を持っています。
そのため、楽天のように顧客を囲い込まなくとも勝手に集客できますので、ポイントのようなサービスでの囲い込みは行なっていません。
むしろ、ポイントはあってもすぐに使わせるようになっており、煩わしいポイント制度を顧客に与えないようにしています。
ECサイトを軸としたポイント戦略で言えば楽天は非常に優れており、Amazonよりも優秀ですが、そもそもAmazonはそんなことをしなくともユーザーが集まりますし、ポイント戦略には消極的です。
そして、AmazonはECサイトが主体の企業ではないのです。
Amazonは事業の軸がECではなく、インフラになっています。
AmazonはECでもクラウドでも、「規模の経済」で勝つビジネスモデルです。
事業から生まれるキャッシュフローはすべて、設備などに投資します。
Amazonは所謂「規模の経済」でどんどんと投資をします。
オンライン書店としてささやかなスタートを切ったアマゾンはその後、食料品からストリーミングサービス、クラウドコンピューティング、広告、物流・輸送などに事業を拡大させてきました。
とにかく、Amazonはインフラを握ろうとしています。クラウド、通信、小売物流など。商取引全体の一連のインフラを全て抑える動きが見てとれます。
やはり、ここがトップ企業Amazonとの格の違いなのでしょう。
Amazonはインフラになった
Amazonは既にインフラでしょう。
収益の柱はAWS(Amazon web service)です。
こちらはクラウド事業でMicrosoftやGoogleを抑えてナンバーワンのシェアを獲得しています。
日本だと楽天やヨドバシと言った企業がAmazonを追随していますが、アメリカではAmazon一強が進んでいます。
アメリカは日本と違い国土が広く、場所によっては近くのスーパーに行くだけでも何百キロという距離があります。
そのため通販が必要不可欠となっているのです。Amazonはこの市場をすべて握るためにドローンを使った物流システムの開発に力を入れています。
運送が無人になれば大きく物流コストを減らすことができ、消費者も価格の安いAmazonを使うようになるからです。
そして、書籍に関してもキンドルような電子書籍のプラットフォームを開発したり、その場で本を刷り、紙媒体の書籍も自動で生産販売までできる体制を整えています。
このようにますますAmazonのインフラ企業化が進み、ECサイトというよりも商取引のインフラをすべて握ろうとしていることがわかります。