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不動産投資家目指すなら宅建ぐらい受からないと厳しい

「宅建」は不動産投資家にとって必要な資格なのだろうか?

宅建は難しいが不動産投資はそれ以上に難しい

結論を言うと、不動産賃貸業を行うのに宅建士資格が必須というわけではないが、宅建士試験の出題範囲となっている不動産取引に関する知識はあったほうがよいと考えている。収益物件を購入するときは、物件資料や不動産売買契約書・重要事項説明書などの内容を理解しておく必要があるからだ。

不動産売買で特に重要な「地目」「前面道路」「用途地域」「防火地域」、さらには「日影規制」や「高度地区」といった制限も宅建士試験のテキストに登場する。これらの知識を習得していれば、物件の売買時に「建築基準法に違反していないか」「売買価格が適正か」「建築計画の変更は可能か」などが判断しやすくなり、物件の買い付け前に異変を察知できるようになる。

例えば、購入する一棟アパートの一部に未登記の増改築があるのに、その説明を受けていないような場合。現況は建物図面にない部屋や付属建物があるのに、登記事項証明書に増改築の記載がなければ、未登記の増改築で建築確認申請をしていない可能性が高い。その場合は建蔽率や容積率、高さ制限などの面で違法建築とみなされてしまうリスクがある。

借地借家法は賃貸経営の基礎知識

宅建士の知識をつけておくことで、不動産取引を円滑に進められる分野はいくつかある。例えば、借地借家法で規定された定期借地権。利回りが高い一棟物件などで「借地権」と明記されている場合があるだろう。普通の借地権であれば、よほど特別な事情がない限り基本的に賃貸借契約は更新されるのであまり心配はないが、定期借地権の場合は要注意だ。

定期借地権は「賃貸借契約の更新をしない」ことが前提となっているため、契約期間が満了すると、建物を取り壊して更地にして地主に返還しなければならない。土地にも所有権がある通常のマンションと比べると売買価格は割安に設定されていることが多いが、やはり将来的な建物の取り壊しがネックとなる。

定期借地権についての知識があれば投資家自身で物件の良し悪しを判断できるが、投資に慣れていないと、利回りの良さに飛びついてしまって買付をした後や売買契約後になって後悔する可能性もある。逆に、定期借地権であることを理解したうえで、高利回りという要素を大きなメリットと捉えることも可能になる。

宅建士の勉強は「宅建業法」が最も多く出題されるのだが、正直なところ宅建業者ではない一般の投資家にとってはあまり関係がない。それよりも、「法令上の制限・税」や「権利関係(民法)」の方が不動産取引に関する法規制を学ぶことができる。権利関係は、錯誤や詐欺、瑕疵担保責任、相続、抵当権、地上権、借地借家法など、投資家にとって身近な内容のものが多いため、試験の合否関係なく学んでおきたい。

宅建士とは?

宅建士とは不動産取引に関する専門知識を有した者のことで、売買や賃貸の仲介業務を専門的に行う。不動産取引の相手方に対して重要事項説明を実施し、契約書や重要事項説明書に記名押印をする。重要事項説明や記名押印は宅建士の独占業務なので、宅建士資格を持たない者が行うと宅建業法違反となる。

投資家が宅建業者になる道もある

宅建士試験に合格して都道府県知事への登録が完了すれば、宅建士の業務が行えるようになる。また、法人を設立して不動産取引業を営む会社として宅建業の免許を取得すれば、不動産仲介業者と同じように売買や賃貸の仲介業を行うことも可能だ。

宅建業法の規定で、不動産会社の社員5人につき1人は宅建士がいなければならないのだが、投資家自身が宅建士であれば設置義務はクリアできている。無理に資格持ちを雇う必要もないので、余計な人件費がかかることもない。

個人が反復継続して不動産売買をする場合
不動産投資の規模が拡大して所有物件が増えてくると、売買を行う回数も多くなる。賃貸経営を事業として行うのは問題ないが、個人が不動産の売買を繰り返すと宅建業法違反になる可能性があるので注意したい。

判断基準がわりとざっくりしているのでグレーゾーンの取引の場合が多いが、不特定多数に対して利益を得る目的で不動産売買を行い、取引を反復継続していると「宅建業」とみなされる場合がある。

事業性の高い不動産取引を個人が行っていると、宅建業法違反として指摘を受ける可能性が高まるので、逆に宅建業者になっておけば転売目的で売買を行っていても問題ない。ただし、宅建業の免許を受けるためには国土交通大臣または都道府県知事への申請が必要で、かつ宅建協会への入会金や保証金の供託などで140万~150万円程度の初期費用がかかる。初期費用を支出してでも免許を取る必要があるかどうかは、投資家の考え方や投資方針によるだろう。

宅建士資格は不動産投資のための知識として有効
収益物件を売買するときは不動産仲介業者に依頼するのが一般的だが、前述した通り仲介業者の営業マンであっても全員が宅建士であるとは限らない。もし投資家が宅建士資格保有者だったり同等の知識を持っていたりすれば、取引の相手方や仲介業者との交渉にも効果的だ。例えば「私道の所有者となかなか連絡が取れない」「未登記の増改築がある」といった場合、具体的な指摘をしながら値下げ交渉をしていくことが可能になる。

仲介業者よりも不動産の専門知識があれば、再建築不可の物件であってもデメリットをきちんと理解して取引交渉に臨めるようになる。再建築不可の物件は道路の幅員条件や接道義務を満たせば再建築可能になる場合もあるので、きちんと知識を持っていればうまく対応できたりする。