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底地投資の知識

期間を定めていない契約は、そのまま解約が一切できないとすると、永久に継続せざるを得ないことになってしまいます。このため、民法は、期間を定めない建物賃貸借契約の場合、賃貸人、賃借人は、いつでも、3カ月の予告をもって賃貸借契約を解約できるものと定めています(同法617条1項2号)。賃貸借契約書が作成されておらず、かつ、口頭でも賃貸借の期間を定めていない場合は、同法により、当事者は、いつでも3カ月の予告をもって、賃貸借契約を解約できるようにみえます。

2. 賃貸借契約の解約に関する借地借家法上の修正
 賃貸借の期間内解約に関する上記の民法上の原則は、土地賃貸借や建物賃貸借等、借地借家法が適用される契約においては、そのまま適用されるわけではありません。借地借家法は、一般法である民法の特別法ですから、民法と借地借家法の規定の内容が異なる場合には、借地借家法の規定が優先的に適用されます。建物賃貸借契約の場合には、借地借家法により、民法の期間内解約の原則は次の2つの点で修正されています。

(1)賃貸人による期間内解約の申入れは6カ月の予告が必要
 借地借家法27条は、「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する」と規定されています。この規定により、賃貸人からの解約の場合には、6カ月の予告が必要ということになります。
 なお、借地借家法には、賃借人による建物賃貸借の解約に関する規定はありません。
 したがって、賃借人による建物賃貸借の解約は前述の民法617条または6 1 8 条の原則のとおりですので、賃借人は3カ月の予告で建物賃貸借契約を解約することができます。

(2)建物賃貸借の解約申入れには借地借家法28条に定める正当事由が必要
 借地借家法28条は、建物賃貸借の更新拒絶の場合と期間内解約の申入れは、同条に定める正当事由を具備していなければすることができない旨を定めています。したがって、賃貸人が建物賃貸借の解約をしようとする場合は、いわゆる正当事由が必要です。売却をするために賃借人に退去を求めるという場合に、ただちに借地借家法に定める正当事由が認められるとは限りませんので、多くの場合には応分の立退料の支払いにより正当事由の具備が認められるか否かが争点となります。

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正当事由に該当する場合とは?

借地上の建物が火災で焼失した場合、借地契約の期間はどうなりますか。
A
1.平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約の場合
 建物が火災、倒壊、取壊しなどによりなくなることを「滅失」といいます。
 借地上の建物が滅失した場合の扱いについて、借地法が適用される平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約か、それ以降に締結された借地借家法が適用される借地契約かによって、適用される制度が異なっています。
 平成4年8月1日よりも前に締結された借地契約について、借地上の建物が滅失した場合であっても、借地契約は終了しません。借地人は借地契約の期間中は建物を所有して借地を使用する権利をもっていますので、建物が滅失しても、再築して借地を使用することができるのです。
 なお、借地契約において再築を禁止する特約が定められているとしても、そのような特約は無効となると考えられています。
 借地人が、借地契約の残存期間(期間満了までに残っている期間)を超えて存続する建物を再築する場合、地主が遅滞なく異議を述べなければ、借地契約の期間は、建物が滅失した日から、堅固な建物については30年、非堅固な建物については20年となる、という期間延長の制度が定められています。ただし、もとの期間の方が長いときは、もとの期間は変更されません。
 これに対し、地主が遅滞なく異議を述べたときは、もとの期間がそのまま維持されることになります。

 

借地契約を更新する際、借地人に対して更新料を請求できますか。
A
 地主と借地人との間で更新料についての合意があれば、更新料を請求できます。
 借地契約が更新される際に「更新料」の名目で一定の金額が借地人から地主に対して支払われることが多い地域があります。
 しかしながら、法律上は、借地契約が更新される際に更新料の支払いが必要とされているわけではありません。したがって、地主としては、法律を根拠として更新料を請求することができるわけではありません。
 また、法律と同一視できる程度に成熟した慣習がある場合には、慣習に基づいて請求することが考えられます。しかしながら、借地契約の更新料については、そのような慣習の存在を認めない裁判例が複数あります。
 したがって、地主が更新料を請求するためには、更新の際に借地人との間で更新料の支払いについて合意する必要があります。なお、地主と借地人との間で更新料を支払う旨の契約(合意)が成立した場合には、金額が暴利に当たるような高額なものでなければ、有効であると考えられています。
 また、借地契約において予め更新料についての特約を設けておくことも考えられます。(ただし、借地契約に更新料についての特約があるにもかかわらず、借地契約の期間が満了した際に更新の合意がなされず、法定更新が成立した場合について、借地契約の特約に基づき更新料を請求できるかどうかについては見解が分かれています。なお、法定更新については【Q借地契約の更新手続を行うのを忘れていた場合、借地契約の期間はどうなりますか。】参照)
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Q
借地人が更新料の支払いを約束したにもかかわらず支払わない場合、借地契約を解除できますか。
A
 更新料の支払いが合意された経緯等によっては、借地契約を解除できる場合もあります。
 借地契約が更新される際、地主は当然に更新料を請求できるわけではありませんが、借地人との間で更新料の支払いについての合意があれば、更新料の支払いを請求することができます(【Q借地契約を更新する際、借地人に対して更新料を請求できますか。】参照)。
 しかしながら、借地契約については、契約違反があったとしても、信頼関係が破壊される程度に至っていない場合には解除することができないと考えられています(信頼関係破壊の理論【Q地代を確実に払ってもらいたいので、1か月でも支払いが遅れたら即解除できるようにしたいのですが、可能ですか。】参照)。したがって、更新料を支払わないことによって、地主と借地人との信頼関係が破壊される程度に至っているかどうかが問題となります。
 裁判例の中には、更新料の支払いが合意された経緯などから、更新料の支払いが借地契約の重要な要素として組み込まれており、信頼関係を維持する基盤をなしているものと認め、更新料を支払わないことを理由とする借地契約の解除を認めたものがあります。
 更新料の支払いが合意された経緯等から、借地人が更新料を支払わないことによって信頼関係が破壊される程度に至っていると認められる場合には、借地契約を解除することができることになります。

建物買取請求権

借地契約の期間が満了するため借地を明け渡すよう求めたところ、借地人から、借地上の建物を買い取るよう請求されました。建物を買い取る義務はあるのですか。
A
 建物を買い取る義務があります。
 借地契約の期間が満了した場合に、借地契約の更新がないときは、借地権者は地主に対して建物の買取りを請求することができるとされています。これを「建物買取請求権」といいます。
 通常の建物売買であれば、売主には売るか売らないかを決める自由があり、買主にも買うか買わないかを決める自由があります。しかしながら、借地人が建物買取請求権を行使した場合には、当然に地主と借地人との間で建物の売買契約が成立したのと同じ効果が発生することとされているため、地主は、建物の買取りを拒否することはできません。
 なお、この場合の建物の買取代金は、建物の時価とされています。建物の時価を算定する際には、建物の所在地の利便性など場所的利益は考慮されますが、借地権価格は含まれません。
 建物買取請求権が行使されると、借地人は、地主が建物の時価相当の代金を支払うまで建物を引き渡さず土地を占有することができます。地主としては、借地人に対して地代相当額は請求できますが、土地の明渡しを受けるためには建物の代金を支払う必要があります。