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農林中金の事業内容


農業法人への投資に関する法改正に伴い、食品加工や流通業にも投資できるようになった

農林中央金庫は今後5年間で、農業や食品関連の企業に計145億円を投資する。主に農業技術や食品加工、流通関連のスタートアップ企業を対象とする。投資先企業の成長を通じて農林水産物の付加価値をより高める流通の仕組みをつくり、事業基盤である第1次産業の安定につなげる。

投資事業は農林中金をはじめとするJAグループと、日本政策金融公庫が出資するアグリビジネス投資育成(東京・千代田)が手掛ける。アグリ社はこれまで農業法人にのみ投資してきた。投資領域の拡大に伴い、農林中金はアグリ社に段階的に追加出資し、将来は子会社にする。農林中金からアグリ社へ派遣する人材も増やす。

投資枠のうち100億円を、食農関連のスタートアップ企業に充てる。農林中金はこれまでも農業用ドローン開発のナイルワークス(東京・千代田)や、産地直売サイト運営のポケットマルシェ(岩手県花巻市)などに直接投資してきた。


農林中央金庫が出資するナイルワークス(東京・千代田)が開発した農業用ドローン

今後は食農関連の投資をアグリ社に集約し、ノウハウを蓄積する。投資先のスタートアップが開発した技術やサービスを、同じく投資先の農業法人に試験導入するなど、企業間の連携も促す。

残りの45億円は生産法人に投資する。従来の農業法人に加え、漁業や林業の事業者も対象とする。投資を通じて大規模化や事業承継、経営の立て直しなどを後押しする。生産法人はアグリ社の資金を活用して資本増強することで、他の地域金融機関などとも融資取引などができるようになる。

農林中金が食農関連の企業への投資を拡大するのは、2021年の通常国会で農業法人への投資に関する特別措置法が改正されたためだ。国産の農林水産物や食品の輸出拡大に向けて、農林水産省の承認・監督を受けた法人の投資対象がこれまでの農業法人から、漁業や林業、食品加工や流通業にまで広げられた。アグリ社も投資領域を拡大できるようになった。

アグリ社の投資では生産者支援を主な目的とし、あえて高いリターンを追求しないことで、一般的な投資ファンドなどとの違いを出す。農林水産業は収益が見通しにくいため、ファンドの投資対象になりにくい。投資先のスタートアップの技術やサービスが長期にわたって生産者の役に立つと判断すれば、上場後も株式を保有し続けることも視野に入れる。