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リースバック

リースバックでは自宅を売却後、賃貸借契約を結ぶ

筧家のダイニングでは、住宅と老後の資金に関する話題が続いています。良男が「そういえば、広告で住宅のリースバックとかいうのを見た気がするな」とつぶやきました。恵は「リバースモーゲージと何が違うの?」と幸子に話しかけます リースバックの正式名称「セール・アンド・リースバック」を分解すると、仕組みがわかりやすいわ。セールは、不動産を売却するということ。リースバックは、その物件を売り主に貸すという意味よ。

良男 まだリバースモーゲージとの違いがわからないな。

幸子 リースバックは、自宅を売却するのが特徴よ。自宅の所有権が、売却先の不動産会社に移るの。リバースモーゲージは売却しないので所有権はそのままで、自宅を担保にお金を借りる仕組み。リースバックは売却と同時に、不動産会社と賃貸借契約を結ぶから、結果として自宅に住み続けられるの。


恵 ずっと住み続けられない可能性があるというのは?

幸子 リースバックでは、家の所有権が売却先の不動産会社に移るから、その不動産会社の意向次第で、賃貸借契約の打ち切りなどで住み続けられないリスクがあるの。リースバックでの賃貸借契約は、契約期間が決まっている定期賃貸借契約が多いようなの。3年や5年といった契約期間満了後に、契約更新で住み続けられればいいけれど、不動産会社によってはしかるべきタイミングでリフォームして、物件を売却したいかもしれない。そうすると、退去を迫られる可能性があるわけ。

恵 そんなこともあるんだ。

幸子 最近は、借り主の立場が強い普通賃貸借契約を結べる商品を提供する会社もある。リースバック最大手で「ハウスドゥ」ブランドで不動産事業を手掛けるAnd Doホールディングスは原則、普通賃貸借契約にしている。社長の安藤正弘さんは「老後も自宅に住み続けたいからリースバックを使う人は多いので、契約内容に気を配っている」と話しているわ。

良男 どういう人がリースバックに向いているのかな。

幸子 すぐにまとまったお金が必要で、売却後も自宅に住み続けたい人に需要があるわね。自宅から引っ越したくないけれど、目先の支払いなどで資金がほしい人が利用するそうよ。持ち家の担保価値が低く、リバースモーゲージで借りられる金額が少ない場合、リースバックを選択することもあるみたい。売却した自宅を後々買い戻したい人、または売却後の一定期間は自宅に住み続けたいけれど、その後は老人ホームに移る計画がある人なども向いているわね。

良男 老後を見据えてリースバックを使う人はいるのかな。

幸子 リバースモーゲージは、債務が残ると相続人に影響が出る場合があるけれど、リースバックは物件の所有権がなくなるから、そういった面倒がなくなる。相続対策でリースバックを選ぶ人もいるようだわ。

恵 リースバックを使ううえで、注意点はあるの?

幸子 1つが価格設定ね。リースバックは通常、相場より安い売却価格が設定されることが多いの。これは、売却後も売り主が賃貸借契約で物件にそのまま住み続けるので、買い手はすぐに売れず不利になるから、ディスカウントされているわけ。できるだけ高い価格で売りたくて、自宅に住み続ける必要がない人は、リースバックではなく、通常の売却がいいわ。

良男 他には?


幸子 持ち家の売却でまとまった資金を手に入れられるけれど、売却後は賃貸借契約になるから、毎月家賃を払う必要がある。その場合の賃料も、同じ条件の物件と比較すると、相場より高く設定されることが多いわ。オーナーはすぐに物件を売れないから賃料収入で稼ぐ必要があり、家賃は高くなりがちなの。ずっと住み続けて借りる期間が長くなれば、家賃として支払う代金が増えることも注意が必要ね。物件の売却価格を上回ってしまうこともあるそうよ。

恵 悪徳商法に使われることもあるそうね。一人暮らしの高齢者宅に不動産業者が押しかけて、リースバック契約を迫るケースなどがあるそうよ。

幸子 所有物件の売却は、クーリング・オフ制度が適用されないから、一度契約してしまうと、契約解除に違約金が必要になる場合がある。日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の金融委員会委員長、水谷千佳さんは「老後の資金や生活設計に大きな影響を及ぼす」と指摘している。国土交通省が消費者向けにガイドブックを策定しているので、リースバックを検討している人は読んでみるといいかもしれないね。