■ テンバガーとは
テンバガーとは、株価が10倍に跳ね上がる銘柄のことを言います。
野球で塁打(ヒット)のことをバガーといい、1試合で10(テン)塁打(バガー)を打つ程の勢いのある急成長銘柄という意味で使われるようになりました。
テンバガーを見つけるためには、まず自分の身の回りのそのような銘柄がないか探すのです。
たとえば近年(2011年~2016年)の日本株のテンバガーになった銘柄にはこんなものがあります。
ディップ
(求人サイト):株価上昇率:68.4倍
そーせいグループ
(製薬ベンチャー):株価上昇率:14.3倍
ガンホーオンラインE
(ゲームアプリ制作会社):株価上昇率:11.9倍
ディップはアルバイト求人情報サイト「バイトルドットコム」などネット求人を運営しています。
人気アイドルグループAKB48を起用した広告で12年2月期の純利益は3.7億円でしたが、17年2月期は56億円と急拡大しました。
それに伴い株価も68.4倍まで上昇しました。
ではそのようなテンバガーになりうる銘柄にどのような特徴があるのでしょうか?
■テンバガーに特徴や共通点は存在する?
証券会社のHPには「スクリーニング」という機能があり、条件を入力すれば絞り込みができる機能があります。
テンバガーになる条件は以下の通りです。
- 時価総額が小さい
- 株価が安い低位株
- 新興市場に上場している
- テーマ性に即しており、成長性が高い
□ 時価総額が小さい
時価総額とは、発行済株式数×株価で、企業価値を評価するための1つの指標です。
時価総額が大きければ、企業の利益や資産が大きいと判断することができます。
例えば、トヨタ自動車のような大企業の株価がこれから10倍になるには、売上や利益も相当上げていかなければならず、容易な道のりではありません。
一方設立間もないベンチャー企業やスタートアップ企業は、現在は売上や利益が少ないかもしれませんが、伸びしろは大企業よりもあることが多いです。
□ 株価が安い低位株
低位株とは、株価が500円程度を下回る銘柄のことを言います。
このような銘柄は業績不振や、財務状態の不安、将来性の不安などから安値で放置されています。
業績も安定していて株価が5,000円の銘柄と、業績不振で株価も落ち込んで株価が100円の銘柄ではどちらがテンバガーになる確率が高いでしょうか?
業績も安定している銘柄がさらに業績を伸ばすことも可能ですが、すでに株価も5,000円と比較的高い水準にある銘柄では株価に織り込み済み、と言えるでしょう。
つまり今後さらに株価が伸びていく可能性は低くなります。
ところが業績不振で株価も低迷している銘柄が、何等かの新規事業などで大化けしテンバガーになることは珍しくありません。
その例としてペッパーフードサービスという会社があります。
主な事業は「いきなりステーキ」です。
この会社は2009年にO-157でによる食中毒が全国に広がったことで業績が一気に悪化し株価も安値で放置されていました。
しかし2013年に展開をはじめた「いきなりステーキ」のヒットにより、2012年から株価が20倍前後まで伸びています。
□ 新興市場に上場している
東京証券取引所には大きく4つの市場があります。
東証一部
東証二部
マザーズ
JASDAQ
このうち東証一部と東証二部は比較的規模が大きな企業で、いわゆる新興企業と言われる企業が多いのはマザーズとJASDAQです。
しかしJASDAQにはスタンダードとグロースの2つの市場が存在し、グロースが新興企業メインの市場となっています。
前述させて頂きましたが、テンバガーになる可能性がある銘柄は時価総額も低く、低位株であることが条件です。
そういった銘柄は多くは新興企業に多いため、銘柄検索の際はそういった企業が多く集まる新興市場から探した方がいいでしょう。
□ テーマ性に即しており、成長性が高い
流行りや廃りはありますが、テンバガーになりうる銘柄は旬なテーマ性のある業界から出てくることが多いです。
たとえば近年では、
- フィンテック
- ブロックチェーン
- AI
- 環境ビジネス
などが挙げられるかと思います。
このような旬なテーマに沿った銘柄はテンバガーになりうる可能性が高いです。
たとえばフィンテックでいえば、キャッシュレス社会が進む中で画期的なサービスを展開し、より生活を便利に、豊かにすることができる事業を展開している企業も多いです。
近年、銀行業の不振から銀行員を退職し、フィンテック業界に飛び込む方も多く、優秀な人材も集まりやすい特徴があります。
フィンテックもまだまだ発展途中で、これからも参入企業が増え続けていくと思われます。
このような業界は今の日本の中でも成長性が高い業界と言えるでしょう。
■ テンバガーは一点張りより複数銘柄に分散した方が良い?
投資の基本は「長期」、「積立」、「分散」と言われます。
株式投資でなかなか「積立」を行うことは難しいですが、他の「長期」と「分散」については実践できるかと思います。
それではテンバガー銘柄にもこの「長期」と「分散」は必要なのでしょうか。
まず確かなことは、全ての銘柄がテンバガーになりうることはありません。
事業が上手く軌道に乗らずに市場から退場していく銘柄も多くあります。
となればまず「分散」は必要でしょう。
1つの銘柄だけにフォーカスして投資をしていくことは、その銘柄に頼り切ることになり、リスクも高くなります。
そうではなく、複数銘柄に分散していけばそのうちの1銘柄がテンバガーとなる可能性が高まります。
特にこのような銘柄は財務的に不安を抱えていることもありますので、複数銘柄に分散させる方がいいでしょう。
テンバガーを夢見ることもいいのですが、それと同時にリスクも高まることを忘れないようにしましょう。
■ テンバガーも基本的には成長株投資
テンバガー銘柄への投資で「分散」が必要であることを理解して頂きました。
結論をいえば、基本的に長期投資で考えられた方がいいでしょう。
というのも、短期投資で分散投資をしても、よほどの投資資金がなければリターンを得ることができません。
そうなれば自然と集中投資になってしまいます。
前述の例でも出させて頂いたディップという会社も2011年から2016年の5年間で株価が68.4倍になっています。
つまり一夜にして68.4倍になったわけではないのです。
テンバガーでも基本は長期投資でじっくり腰を据えていきましょう。
■ まとめ
- 自分の身近にある
- 時価総額が小さい
- 低位株
- 新興市場に上場
- 旬のテーマ性がある
がテンバガーの条件となります。