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証券担保ローンを検討する

J-REIT投資を行うにあたり、不動産投資家にとって最大のメリットをもたらす証券会社を選択しよう。個人投資家が口座開設できる証券会社は10以上存在するが、本稿では口座開設数の多いSBI証券、野村證券、楽天証券の3つの証券会社を徹底比較する。 まず結論から伝えると、不動産投資家にとって最もお勧めできるのは野村證券だ。 なぜなら、野村證券はJ-REIT等の売買手数料は比較的高いものの、証券担保ローン(J-REIT等の有価証券を担保とする融資サービス)が充実しており、特に「webローン」を活用して、優良物件を購入するための手元の「現金」を低金利で確保できるというメリットがあるためだ。

SBI証券は、J-REIT等の売買手数料が3社の中で最も安く、金利は高いが証券担保ローンも利用でき、かつ貸株金利(自分が持っている有価証券を証券会社に貸すことで得られる収入)が高めであるバランスの取れた証券会社だ。

野村證券は敷居が高いと感じる投資家にはおすすめである。

楽天証券は、J-REIT等の売買手数料が安く、貸株金利も高めであるが、証券担保ローンのサービスがないため、不動産投資との親和性は高くない。

ただし、楽天ポイントが利用できたり、楽天カードで積立投資ができたりと、一般的な投資家にとっては魅力的なサービスを提供している。 これら3社の特徴を (1)証券担保ローン (2)売買手数料 (3)貸株金利 の観点からまとめると図表1のようになる。 (*1)アクティブプラン(1日定額制プラン)の手数料 (*2)オンライン専用支店におけるオンライン取引の手数料 (*3)いちにち定額コース(1日定額制プラン)の手数料 出所:各社HPを基に日本橋くるみ行政書士事務所作成 (*1)アクティブプラン(1日定額制プラン)の手数料 (*2)オンライン専用支店におけるオンライン取引の手数料 (*3)いちにち定額コース(1日定額制プラン)の手数料 出所:各社HPを基に日本橋くるみ行政書士事務所作成 以下、不動産投資家にとって最も重要である「証券担保ローン」に絞って詳しく解説する。 証券担保ローン SBI証券、野村證券ともに、日本証券金融株式会社(日証金)という会社との提携による「コムストックローン」「新コムストックローン」という融資サービスを提供している。図表2、図表3に示すとおり、どちらの証券会社を通じて借り手も条件は同じだ。 出所:https://web.jsfnet.com/goods/exp/clw41310.html 出所:https://web.jsfnet.com/goods/exp/clw41310.html 出所:https://web.jsfnet.com/goods/exp/clw41330.html 出所:https://web.jsfnet.com/goods/exp/clw41330.html 不動産担保ローンと同様に、証券担保ローンも担保評価額に応じて融資額が決まる。(新)コムストックローンは、1億円を上限として、担保有価証券時価額の60%(一銘柄の時価額の割合が時価額合計の70%以上を占める場合は50%)まで借入を受けられる。担保として認められる有価証券の範囲は次のとおりだ。 次の①から⑤までの有価証券のうち、日証金が適当と認めるもの(外国株券等の外国証券およびTOKYO PRO Marketのみに上場されている有価証券は除く。) 出所:https://web.jsfnet.com/goods/exp/clw41330.html#detail_st  出所:https://web.jsfnet.com/goods/exp/clw41330.html#detail_st 急に良い物件が出た際などに(新)コムストックローンを利用すれば、有価証券を売却せずに、その時価の60%に相当する現金を確保できる。年3~4%の金利はつなぎ融資の資金として考えれば、十分に魅力的な水準であるといえよう。 野村證券のWebローン Webローンは、野村證券が野村信託銀行と提携して独自に提供する有価証券担保ローンだ。最大融資額は1億円と(新)コムストックローンと同じだが、金利は年1.5%と不動産担保ローン並みに低い。 つなぎ融資はもちろん、たとえば、融資困難な物件を取得するための中長期的な資金調達などに利用することも可能である。Webローンの担保として認められる有価証券の範囲と掛け目は図表4のとおりだ。 出所:https://www.nomura-trust.co.jp/lp/loan/index.html 出所:https://www.nomura-trust.co.jp/lp/loan/index.html J-REITの担保掛目は50%と(新)コムストックローンに劣るが、金利が低い点を考慮すると、総合的にはWebローンの方を好む投資家が多いだろう。 また、国内公募投資信託や外国債券の担保掛目は60%であるため、これらを保有する投資家はより有利に借入を受けることができる。なお、現在の低金利水準だと日本国債等を買っても妙味はないので、日本国債等の担保掛目80%は参考程度に捉えよう。 現物の不動産投資を通じて「融資」の重要性を理解している不動産投資家であれば、Webローンを提供する野村證券のメリットがお分かりいただけたと思う。 これまでの連載記事で学んだ知識を活かし、不動産投資との相乗効果を高めるJ-REIT(有価証券)投資に積極的に取り組んでいただきたい。

 

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富裕層の資産運用において「レバレッジ」は必要不可欠な要素だ。連載「富裕層の資産運用マル秘テクニック」では、前回に引き続きこの「レバレッジ」ついて解説、富裕層が実践しているレバレッジの具体的な活用方法をご紹介する。今回も、日本を始め米国やスイスのプライベートバンクに11年間在籍し、現在は富裕層の資産形成サービスを手掛けている「ウェルスパートナー」代表・世古口俊介氏に話を聞いた。

金融レバレッジの代表格
(画像=ZUU online)
富裕層は、前回ご紹介した不動産担保ローンなどの実物資産を担保にした「実物レバレッジ」だけでなく、金融資産を担保に借り入れをする「金融レバレッジ」についても利用することが多い。なかでも代表格は、「証券担保ローン」だ。

証券担保ローンとは、保有している株式や債券といった有価証券を担保にして借り入れするローンのことだ。デメリットは、強いてあげれば担保の有価証券を売買することができなくなるということくらい。そのため富裕層の間でよく利用されているのだ。

それでは、仕組みを説明しよう。例えば1億円の株式と、1億円の債券を担保に証券担保ローンを組むとする。株式や債券の種類によって借り入れができる担保掛目が異なるが、ここでは分かりやすくするため株式が50%、債券が70%だとする。

となると、株式で1億円×50%=5000万円、債券で1億円×70%=7000万円、合計1億2000万円を借り入れることができる「担保余力」があることになる。つまり、2億円分の有価証券を担保にして、1億2000万円の範囲で自由に資金を出し入れすることが可能になるわけだ。

再投資で担保余力を増額
しかし、「担保余力の1億2000万円全額を借りる場合は注意が必要」と世古口氏は指摘する。なぜなら、株価や債券の価格が下落した場合、すぐに担保割れしてしまうからだ。そうなれば追加の担保を提供するか、借りている資金を返済しなければならなくなる。そのため、1億2000万円の担保余力があったとしても、「実際に借りるのは8000万円くらいにしておくなど、余裕を持って借り入れすることが大事」と世古口氏はアドアイスする。

一方で、担保余力全額を借り入れして良いケースもあるという。それは、「借り入れした1億2000万円をさらに株式や債券などに投資して、その株式や債券などをさらに担保に入れる場合」(世古口氏)だ。

例えば1億2000万円分の株式と債券を再度担保に入れた場合、担保掛目が50%だとすると、1億2000万円×50%=6000万円分の担保余力が発生。最初の担保余力と合わせると、担保余力の合計は1億8000万円になる。こうすることで、最初の借り入れについて担保余力いっぱいまで借りても余裕ができて大丈夫になるというわけだ。

使途の自由さが魅力
金融資産と実物資産の性質が異なるように、証券担保ローンと不動産担保ローンの性質もかなり異なる。世古口氏に違いをまとめてもらったのが以下の表だ。

(画像=株式会社ウェルスパートナー作成)
不動産担保ローンは、基本的に担保割れリスクがない。不動産価格がそこまで変動しないのに加えて安定した賃料が期待できるなど、返済が滞るリスクが少ないからだ。それに対して証券担保ローンは、値動きが激しい株式などを担保にするため、担保掛目を引き下げることができる契約になっていたりするのが一般的だ。

証券担保ローンが優れているのは資金使途であろう。不動産担保ローンは不動産への投資限定。しかし証券担保ローンは、資金使途が自由だ。借り換えが自由な点も良い。個人で借りていた借り入れを、資産管理会社の借り入れに変更したい場合の手続きなども容易だ。

もう一つ、大きく違うのは元本返済についてだ。不動産担保ローンの場合、毎月、元本を返済する必要があるのに対し、証券担保ローンの場合は利息だけでいいのでキャッシュフローも良くなる。

お勧めは四つの金融機関
では、証券担保ローンはどの金融機関で利用できるのか。世古口氏によれば、「顧客の間では、大和証券、東京東海証券、UBS、クレディスイスなどの評判が高い」という。他にも提供している金融機関は多くあるが、「金利が高かったり、担保掛目が低かったりと、実用的ではない」(世古口氏)という。

世古口氏によると、これら四つの金融機関であれば、保有資産や借入金額などにもよるものの、保有資産数十億円以上の超富裕層であれば0.5〜1%強の金利で借り入れすることができるという。

担保にできる資産は、大和証券の場合は株式と債券、東海東京証券の場合は株式、UBSとクレディスイスの場合は預けられる資産なら概ね全て担保にできる。掛目は、個別株式であれば50〜70%、債券であれば30〜80%、投資信託であれば70〜80%程度。債券の場合、格付けに連動することが多く、シングルAだと掛目も70%と高く、格付けが下がるごとに掛目が下がり、シングルBだと30%程度だという。

「上場会社の創業オーナーは大和証券か東海東京証券で証券担保ローンを組むことが多い」と世古口氏は言う。保有している自社株を担保にすることが可能だからだ。UBSやクレディスイスでもできないわけではないが、「1種類の株式だと流動性が低いことに加えてリスクが高いとの理由で、担保掛目が10%や20%と低くなることが多い。大和や東海東京であれば60%や70%で提供してくれるので、そちらの方が利用しやすい」と世古口氏は指摘する。逆に「自社株ではなく分散された株式や債券、投資信託、ETFなどを担保にできる場合にはUBSやクレディスイスが使いやすい」(同)という。

また、借り入れた資金をそのままUBSやクレディスイスで、債券などで運用することも可能だ。借入金利が1%で、債券が5%の利回りだとすると4%のイールドギャップ(金利差)を得ることができ、インカムゲインメリットもある。富裕層が外資系のプライベートバンクを使うのは、こうしたレバレッジをかけた投資ができるからである。

事業と同じく、投資にもレバレッジ(借入)が重要だ。証券担保ローンを賢く利用して投資してみてはいかがだろうか。