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レセプト債

レセプト債って何だ?

日本の公的な医療は、本人負担が3割なのは良く知られていますよね。では残りの7割はどうしているかというと、健康保険(すなわち市区町村や健保組合など)が支払うことになっています。

ということは、保険が負担する分の7割の部分に関しては、医療機関が別途請求しないといけません。この請求に使う医療費の明細書のことをレセプトと言います。

しかし、実はこの請求には、ちょっとした問題があります。何が問題かというと、請求してもすぐにお金が振り込まれるわけではないのです。

請求から受け取りまでに、タイムラグが発生します。要するに、売り上げがあっても売り掛け金が増える状態になるだけで、現金が入ってくるわけではないのです。

資金繰りの厳しい病院なら、このタイムラグは問題になるでしょう。現金が入ってこないと、例えば、スタッフの給料を払うことも出来ないですからね。

その問題を解消するために生まれた仕組がレセプト債です。レセプトを少し安い値段で病院から買い取って、病院の代わりに請求します。そして、このレセプトを買い取る資金をレセプト債という債券を発行して集めるわけです

 

レセプト債の破産

レセプト債の破産

また最近ちょっとニュースに出た「レセプト債」の破綻のニュースについても僕は相当怪しいと思ってます。

世の中にある債権(お金を支払ってもらう権利)って、何でも証券化できるんです。

これ、英語でsecuritization(セキュリタイゼーション)って言うんですが、今回はレセプトをセキュリタイズしたもの。つまりレセプト債です。

 

ちなみに、米国で2007年のサブプライムショックの際に問題になったのが、サブプライムローンをセキュリタイズしたものです。


で、病院などが国保連合会や社保基金にレセプト請求しますよね?すると数ヵ月後に口座にレセプト入金があります。
その入金されるお金を原資に証券化したものが「レセプト債」です。

何故、このレセプト債なるものが世の中に存在するか?
例えば、20億円のレセプト請求をした病院があるとします。しかし病院はレセプト入金までに待てずにお金を必要としているとします。
まあ、有名な病院でも自転車操業の病院とかザラにあります。

そこに、レセプト債権を起債する会社(今仮にR社とします)が現れて、「ではその20億円のレセプト請求権をウチが16億円で買い取りましょう」ともちかけます。
で、R社は20億円のレセプト請求権を担保に16億円を病院側に用立てます。

前後してこの融通した16億円分を小口債券化します。(多くの投資家に販売するためです。)
そして完成したレセプト債を販売します。20億円分のレセプト請求権を担保にした債権ですのでABS(アセットバックセキュリティ)とも言えます。

薬剤師の方はおわかりかと思いますが、レセプトは非常に安全なものです。数ヵ月後には必ず請求分が銀行口座に振り込まれます。
よって、このレセプトを原資産にしたレセプト債も非常に安全なものです。
16億円を投資家から調達して、20億円を手に入れれば、元本と投資家への金利(配当)を差し引いても数ヶ月で4億円弱の儲けになります。

「すぐにお金が必要な必要な病院」、「債券を買い取り、レセプト債を起債するファクタリング会社」、「高利回りを得られる投資家」にとって「三方一両得」なお話です。

投資家に対して高利回りと書きましたが、このレセプトは非常にリスクが少ないので、利率は3%程度だったみたいですね。
銀行の定期預金の利率を考えると非常に高利回りですが・・・。

これがレセプト債の簡単な説明です。

で、債券の構造上どこにもリスクがなさそうなレセプト債ですが、実際には破綻しました。(笑)
どこに問題があったか?

まだニュースなどで報道されていないので、あくまで僕の推測ですが・・・。

ズバリ医療機関のレセプト請求内容が腐っていた。つまり不正があったのではないかと感じてします。
つまり、やってもいない治療や投薬をレセプト請求して、それが発覚。当然、その分のレセプトは支払われません。
そのレセプト請求権を原資にした証券も紙切れになります。