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コアプラス投資

 

■「コアプラス投資」がお勧め
一言で不動産投資といってもその手法は多様だ。おおよそ次の4種類に分けて投資戦略を練るのが一般的といえる。

■ 不動産投資の戦略分類
・コア型
駅直結のランドマークビルなど高資産性、低収益性の物件を長期保有

・コアプラス型
当社の会社名にもなっているお勧め投資法。薄利多保有で規模拡大に最適

・オポチュニスティック型
競売、割安物件の発掘など好機を探す投資で高収益率

・バリューアデッド型
廃屋再生、リノベーションなどプロの仕事でバリューアップして転売

コア型は千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区(都心5区)などの一等地にピカピカのビルを保有する手法だ。投資家ではなく資産家の相続や大企業向けの戦略といえる。

オポチュニスティック型やバリューアデッド型は「2倍で転売できた」「利回り50%」などの宣伝文句を見ることもめずらしくないが、百戦錬磨の不動産業者と真っ向から競合するビジネスモデルであり、副業の個人が参入するには障壁が高い。

 

東京でいえば、練馬区、板橋区、北区などの住宅地だ。駅徒歩10分以内、鉄筋コンクリート造、平成初期の築、2020年現在で表面利回り6.5%以上ならば間違いはない。

 

このような物件を1億円分買ったとしよう。結論的には毎年300万円ほどの利益になる。利益率は高いとはいえないが、10億円分買えば3000万円の利益であり、本業の給与を超える利益を生むことができる。このような薄利多保有で利益を積み上げていくのが不動産投資の王道と考えている。

コアプラス型投資では物件選びはそれほど重要ではない。実際、筆者はレインズ、楽待、大手不動産業者など誰でもアクセスできるような仕入れ元しか使っていない。専業投資家にしては意外だと思われるだろうが、特に不自由はしていない。

ただし、次のような物件は避けている。

■避けるべき物件のポイント
・賃貸需要が少ない地域
周囲に畑が多い、築浅アパートの激戦区など

・新築物件
古くなると賃料下落と建物価格下落で利回りが悪化

・再調達価格が低い物件
自分で土地を買って新築したほうが安い

・建物比率が高い物件
建物は経年で価値下落する。土地が広いほうが有利

・オペレーショナルアセット
民泊やシェアハウスであるがゆえに高利回りの物件

・旧耐震物件
1986年以前に建てられた物件で、給排水や耐震に問題。高額な修繕が必要なことも

逆にいえば、これ以外であればどれを選んでも大きくは変わらない。低金利の借り入れで投資ができる今、文字通り「時は金なり」だ。「特選物件」が出るまで長期間待つのは期待値に見合わない。今ある物件から消去法で残ったものを選び、早くスタート地点に立つことが大事だ。

■高利回り物件より「規模拡大」が大事
なぜ物件よりも先に融資なのか。それは融資さえ得られれば、自己資金45万円で100億円分の不動産を購入し、毎年、数億円の利益をコンスタントに計上することが可能だからだ。

オポチュニスティック型で不動産投資をはじめてしまうと、利益「率」は高くなるが数億円の保有で頭打ちとなり、利益「額」は小さく終わる。

投資規模を拡大すると、いくつものメリットが生まれてくる点も見逃せない。例えば、規模拡大は失敗へのバッファーにもなる。多少のロスは数十億という金額が動く中での端数として忘れることもできる。

そう考えれば、ますます積極的に買い進めることができる。このように金額の大きさを活用して、個人でも大企業のような動きができるのは不動産の醍醐味だ。

また大規模であれば、管理会社やリフォーム会社とも有利な付き合いができる。実は外部業者との関係性において、価格以上に重要なのは大口顧客として細かい注文や短納期に対応してもらえることだ。

物件管理は最適化の積み重ねといえるが、細かすぎる注文は業者が応じてくれないために最適化の限界を迎えることも少なくない。また電話やメールではなくてプロジェクト管理ソフトで進捗管理したいなど、仕事の進め方から指定できることは大口顧客の特権として効率化に貢献する。

さらに規模を増やせば、物件管理に人的資源を投下できる。筆者はITの知識を生かして、インターホン設備、防犯カメラ、ネットや放送設備などは自作して物件に導入することにより、低コスト化を実現している。

リノベーションのデザイン図面なども自分で描いているが、これも1棟だけの保有であれば研究開発費が捻出できない。大規模になれば、一度作ったひな形を横展開していくだけなので効率がいい。

このような細かな最適化を突き詰めることにより、埼玉県の郊外駅から徒歩30分のような賃貸付けが難しいとされる物件においても高い入居率を維持できている。

不動産投資で最も重要なのは、不動産そのものよりも融資だと断言したい。筆者のような専業投資家ならともかく、「一般のビジネスパーソンが1億円を超えるような不動産投資用の融資を受けられるのか」という疑問が浮かぶかもしれないが、決して無理な話ではない。

カギになるのはタイミングの見極めだ。例えば、東京オリンピックの開催決定以降、不動産相場は上昇しており、個人でも融資が受けやすかった。スルガ銀行の不正融資問題が起こってからは、銀行の姿勢が厳しくなっているとはいえ、融資をまったく受け付けていないわけではない。

ただし、融資を得るために金融機関の窓口に行っても、「不動産融資は積極的にはやっていない」で帰らされることが9割以上だ。

相続や株式投資などで多額の資産を持っているということでもない限り、正面から銀行に行っても取り合ってくれないだろう。

ここであきらめるにはまだ早い。銀行融資を得るために筆者が実践してきた秘伝の技を公開しよう。

まず金融機関には表口から入らないこと。表口とはドアノックでの新規開拓だ。それよりも不動産業者や生命保険の営業に購入を約束し、つながりのある金融機関を紹介してもらうなどが効果的だ。

保険の加入は金融機関とつながるための交際費と割り切る。運がよければ最初から銀行の支店長と会えるかもしれない。支店長と会えたらあとは折衝次第だ。最小限の自己資金で買える物件はどのようなものかをヒアリングする。金融機関により好まれる物件は少しずつ違う。

■裏技は「取引金融機関を増やす」
無事に打ち合わせを終えたら財務資料の提出だ。財務資料は、単に決算書のコピーを提出するだけでなく、自己紹介、物件一覧、借入金一覧、賃貸状況など見やすいディスクロージャー資料を添える。

スルガ銀行問題以降は、会計の透明性も重要な論点となっている。税金や社会保険をきちんと支払うなど法令遵守面もアピールする。少しでも担当者の仕事を減らして稟議を進めてもらう努力をするのは、借りる側の仕事だ。そうしないと、「面倒」という理由で否決されることも少なくない。

財務資料に嘘が書けない分、資料の見栄えをよくするのは限界がある。ここで裏技として使えるのが、取引先の金融機関を増やすことだ。

筆者は18を超える金融機関から借り入れがあり、近隣の銀行のほぼすべてから借り入れがある。ここまで増やすと、「他行が出しているなら当行も」という流れが加速する。金融機関の横並び体質を利用するといい。

資料の提出を終えれば融資審査がはじまるが、ここにも技がある。自己資金を出したくなければ、既存保有物件を担保として提供して自己資金代わりにすることを提案するといい。これは筆者が少ない自己資金で物件を買い進められた理由の一つだ。

つまりフルローンで買える物件を探す、それを担保に次の物件を買う。規模が大きくなれば信用で運転資金が借りられる。この繰り返しだ。もちろん理想的な融資はいつでも出るものではないが、1~2月の銀行の決算期前などタイミングがよければ実際にできる。銀行も誰かには貸さなければ売り上げを作れないからだ。

このように、有利な融資を得るには、金融庁や銀行の内部システムを理解して「通る」稟議とは何かを知り、時に銀行の悪習までも利用する。そこから逆算して、通る財務資料や物件を持ち込む。

その精度を高めれば、少ない自己資金で投資規模を大きくすることができる。不動産だけを見ていては、不動産投資はうまくいかない。

玉川 陽介:コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役