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不動産投資の税金

初心者が知っておきたい不動産投資の「必要経費」
試験でも頻出、不動産投資の「税金」の基礎
田中 嵩二
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2022.8.27
PHOTO: artswai/PIXTA
不動産投資で収益を上げる上で、避けて通れないのが納税です。投資用不動産を購入する際は、物件の購入価格とその後に得られる賃料などの収入に目が行きがちになりますが、そこに実際に納める税金を考慮しないと、予定していた収益が得られない結果にもなりかねません。

賃貸不動産経営管理士の資格試験では、税金に関して毎年2問程度出題されており、出題機関も、賃貸不動産経営において重要な位置付けと捉えております。

今回の記事では、賃貸不動産経営管理士の2021年度の問45の税金の問題をベースに、賃貸不動産経営に関連する税金の知識を解説します。特に、今後不動産投資を行ってみたいと考えている方にとって大事な基本事項となりますので、ぜひ押さえておいていただければと思います。

不動産所得と確定申告
会社からもらう給料、あるいは不動産経営による家賃収入などを得ている場合、その所得に応じて「所得税」を払わなくてはなりません。そして、この所得税の計算のために行われるのが、「確定申告」です。

サラリーマンとしてだけ収入を得ている人の場合、確定申告をしたことがない人が多いでしょう。それは会社には「年末調整」があり、これによって税額が確定するためです。そのため、収入が一定額を超えている方などを除き、会社勤めで給与を得ているだけであれば、確定申告をする必要はありません。

ですが、読者の皆さまの中には、サラリーマンをしながら不動産投資を行っている方も多いかと思います。では、この場合はどうでしょうか。

不動産経営による不動産所得がある場合、その人は確定申告を行って所得税の計算および納付をしなければなりません。

不動産所得は、不動産を貸して得た賃料から必要経費を差し引いた利益です。これに対して所得税や住民税がかかり、年に1度の確定申告で納める必要があります。

なお、計算をする際には、不動産所得と他の所得(給与所得、事業所得、雑所得など)を合計したもの(総所得金額)から当てはまる所得控除(社会保険料や配偶者控除など)を差し引いた金額(課税所得金額)に税率を掛けて税額を算出します。こうした仕組みを総合課税といいます。

建築完成披露のための支出は必要経費になるの?
不動産所得が賃料から必要経費を差し引いた利益だとすると、何が必要経費になるか、という点は非常に重要です。

主な必要経費としては、固定資産税・都市計画税等の税金、建物の損害保険料、不動産会社に管理を依頼した場合の管理費、建物の修繕費や定期的なメンテナンス費用、ローンの金利などが典型例です。

また、例えば建物完成披露のためにかかった支出も、必要経費に含んで問題ありません。なお、建物完成披露のためにかかった支出とは、国税庁によると建物の完成後に行う儀式である落成式や竣工式にかかる費用と示しています。この儀式では飲食を振る舞い、最後には記念品などをお渡しするのが慣習であり、こうしたものにかかる費用と考えられます。

一方、収入は賃料だけでなく、地代、権利金、礼金、更新料、敷金・保証金などの名目で退去時に返還しないもの、共益費等の名目で受け取る電気代、水道代、掃除代なども含みます。

なお、これら収入金額は、賃貸借の契約などでその年の1月1日から12月31日までの間に受領すべき金額として確定した金額となります。未収の場合にも収入金額に含めます。

ちなみに、必要経費が収入を上回る場合は税金がかからないことになります。

減価償却費も必要経費になる
先ほどお話した必要経費ですが、この中には「減価償却費」も含まれます。

減価償却とは、長期にわたって使用し、その価値が次第に減っていくような資産の場合に、その取得費用を一定年数(使用可能期間)に分けて配分することです。その配分した費用のことを「減価償却費」と呼びます。

不動産の場合は、建物やその附属設備などが減価償却の対象となります。土地は時の経過があったとしても価値が減るものではないので、減価償却の対象外です。

不動産の場合、減価償却を行う一定年数を法定耐用年数といい、資産の種類ごとに定められています。法定耐用年数から算出された償却率を掛けた金額が、毎年の必要経費(減価償却費)となります。

なお、不動産所得の計算において、個人の場合、減価償却の方法は「定率法」ではなく「定額法」を原則とします。

定額法とは、毎年一定額ずつ償却する計算方法のことです。それに対して、定率法とは、毎年同じ割合を償却する計算方法(償却金額は最初のうち多く、次第に減って行く)です。

不動産では、建物と、2016年(平成28年)4月以降に取得した附属設備、看板などの建築物は定額法で計算することと決められています。その他の減価償却資産は、事前の申請によりどちらかを選べます。申請をしない場合は自動的に定額法となります。

例えば、1000万円の新築木造住宅を購入した場合(耐用年数22年・償却率0.046)、定額法では取得価額の1000万円に償却率の0.046を掛けた数値である46万円を、その年の減価償却費として毎年必要経費とすることができます。

ちなみに、これが定率法だとしたら、取得価額の1000万円から前年度までの償却費を差し引いた数値に償却率の0.046を掛けた数値が、その年の減価償却費ということになります。

過去問にチャレンジ
特に今後不動産投資に挑戦したい、と考えている人たちにとって大事な不動産と税金の超基本的な部分を解説しました。ここまでの説明を踏まえて、賃貸不動産経営管理士資格試験の過去問題にチャレンジしてみましょう。

【問題】不動産の税金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2021年度問45)

(1)サラリーマン等給与所得者は会社の年末調整により税額が確定するので、通常は確定申告をする必要はないが、不動産所得がある場合には、確定申告により計算・納付をしなければならない。

(2)不動産所得の計算において、個人の場合、減価償却の方法は定率法を原則とするが、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出すれば定額法によることも認められる。

(3)賃貸不動産購入時のさまざまな支出のうち、不動産取得税や登録免許税、登記費用、収入印紙等はその年の必要経費とすることができるが、建築完成披露のための支出は建物の取得価格に含まれる。

(4)不動産所得の収入に計上すべき金額は、その年の1月1日から12月31日までの間に実際に受領した金額とすることが原則であり、未収賃料等を収入金額に含める必要はない。
 

4つのうち、正しいものをお答えください。

すべてこれまでで解説してきた内容です。

さて、それでは答えは…。

正解(1)

ひとつずつ解説していきます。

(1):○
サラリーマン等給与所得者は会社の年末調整により税額が確定するので、通常は確定申告をする必要はありませんが、不動産所得がある場合には、確定申告により計算・納付をしなければなりません。

(2):×
不動産所得の計算において、個人の場合、減価償却の方法は定率法ではなく定額法を原則とします。「減価償却資産の償却方法の届出書」をその年の確定申告期限までに税務署に提出すれば定率法の採用も認められます。

(3):×
賃貸不動産購入時のさまざまな支出のうち、不動産取得税や登録免許税、登記費用、収入印紙だけでなく、建築完成披露のための支出もその年の必要経費とすることができます。

(4):×
不動産所得の収入に計上すべき金額は、その年の1月1日から12月31日までの間に受領すべき金額として確定した金額となります。未収の場合も収入金額に含まれます。

もちろん、不動産に限った話ではありませんが、税金の世界は奥が深く、今回で全てを説明することはできません。ですが、今回お話したような内容は基礎中の基礎ですので、ぜひ覚えておいていただければと思います

 

不動産賃貸業をやり出して分かった事。
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