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地方物件の目利き

 

 

【物件概要】
軽量鉄骨アパート
所在地:群馬県館林市
築年数:31年(購入時)
購入時期:2018年8月
購入価格:5400万円
リフォーム費用:490万円
年間家賃収入:1148万円
表面利回り:21%
融資額:5400万円
金利・期間:2.9%・30年
戸数:1棟8戸×3棟
間取り:2DK×8戸、3DK×16戸
中島さんがこの物件の購入を決めた理由は3つあるという。

1つ目は、2階建てであること。3階建て以上になると、ポンプで水を汲み上げるなどのランニングコストがかかることもあるが、この物件は2階建てのためコストを抑えられる。2つ目は、世帯数が多いこと。2階建てアパートが3棟あり、それなりの世帯数が確保されている点が良かったという。

3つ目は、敷地の広さ。このエリアでは車移動が基本で、駐車場が1世帯につき1台必要になる。この物件は24世帯に対して40台まで駐車できるため、1戸2台とはいかずともそれなりの台数を確保できる、と中島さんはいう。

物件の駐車場。広いスペースが確保されている
周辺環境は、市街地からは少し離れているが、幹線道路が交差する地点で利便性が高い。近くにはチェーンの飲食店や衣料品店などもある。懸念点はスーパーとコンビニが徒歩圏にないことだが、日常的に車を使っている人は近い距離でも車で移動する可能性が高いため、問題ないと判断したそうだ。

ポータルサイトで物件を探すとき重視している点についても聞いた。最近は「土地値で買えそうか」に特に注目しているという。表面利回りが低くても、価格と土地値にかい離があれば指値できる余地があるため、前向きに検討するそうだ。

リフォームのポイントは「費用をかけすぎないこと」

この物件は1年で満室になったというが、リフォームはどの程度行ったのだろうか。

 

まずは外壁。3棟のうちの1棟の側面が目立って汚かったため、その一面のみ塗装を行った。他の部分は、利益が出た段階で検討することにしたという。鉄部が腐食すると転落など生命に関わることもあるため、階段の鉄部の塗装も優先的に行った。外壁と階段を含めて、リフォーム費用は50万円ほどだ。費用を抑えられた理由は、足場代がかからなかったためだという。

 

続いては室内。購入当初、この物件は24世帯中17世帯が空室だった。空室の17世帯を1戸あたり20万~80万円ほどかけてリフォームしたという。

もともとは和室だったものの、クロスとクッションフロアを張り替え、現在は白を基調とする洋室になっている。

水回りのリフォームにも力を入れた。温水と冷水で分かれていた蛇口をシングルレバーにし、トイレには温水洗浄便座を設置。経済的な余裕があれば、追い炊き設備の設置や、押入れをクローゼットに改修する工事を行いたかったというが、そこまでは行わなかった。家賃を安く設定し、地方での競争力を高めるため、リフォームには費用をかけないようにしているという。

「地方の投資で一番大切なのは家賃です。家賃の価格で競争が決まり、その後に駐車場、そして設備です。私のモットーは安く仕入れて安くリフォームして安く貸すことなので、家賃を上げないために必要以上のリフォームはしないようにしています」

地方で生き残る秘訣は「場所」「家賃」「間取り」

この物件は1年で満室になっている。満室にできたポイントは「場所と家賃」だと中島さんはいう。さらに、先述のように家賃を抑えたことも差別化のポイントになった。

また、地方での賃貸需要を考える際には、「間取り」も重要だと語る。「北関東において、ファミリータイプではない1K、1Rは需要があまりありません。都内だと1Kや1Rが主流ですが、地方の場合は土地が広い分狭い物件を嫌う人が多いです。せめて単身でも1LDKが必要だと思います」

中島さんによれば、部屋数を増やして家賃収入を増やすため、地方でも1K、1Rの物件を新築する人は多い。しかし結果的に借り手がおらず、空室率が高くなってしまう可能性が高いため、できるだけ1K、1Rは持たないようにしているのだという。

物件の収支は

物件の収支についても聞いた。満室時の家賃収入は月95万7000円。年間にすると1148万円だ。物件の購入価格は5400万円で、リフォーム費用の合計が490万円。利回りはおおむね19.5%ほどだという。他には、毎月管理費5%で約5万円、ローンは約22万円を支払っており、平均的な手残りは月65万~69万円だという。

【収支一覧】
・収入
家賃収入:年間1148万円

・支出
リフォーム費用:490万円
管理費:5万円
ローン返済:22万円

・手残り
月65~69万円
今後の運営方針は

今後の運営方針についてはどのように考えているのだろうか。中島さんの基本的な投資方針は、「買ったら朽ちるまで持つこと」だという。この物件の場合も、建物が老朽化により稼働できなくなるまでは保有する予定だ。

「よく不動産屋さんは資産の入れ替えをしようという言い方をされますが、本当にそれで儲かるのかは疑問に思っています。一旦高利回りの物件を売却すると、新たに高利回り物件を購入するのはなかなか難しい。売ったり買ったりしていると、その間に仲介手数料や取得税の費用が発生するので、よほどのことがないと儲からないと思っています」

保有を選択する場合、建物がどれくらい持つのかを予測する必要がある、と中島さんは考えている。この物件の場合、現時点では築60~70年ほどは持つのではないかと予想しているという。

中島さんは、築60~70年まで保有後、解体して更地にした場合のシミュレーションも行っているそうだ。現在は築35年で1700万円の運用益が上がっているが、これが築60年になると、通算1億6791万円の運用益になる。

築70年になると、ローンを完済しているため2億4068万円。そこから建物の解体費や初期費用を差し引き、土地の価格を足して生涯利益を計算すると、1億9020万円ほどになるという。築70年の場合は、生涯利益2億6297万円だ。

 

この物件の評価について「投資としては成功」と話す中島さん。「戦略的に購入、運営していけば、きちんと利益は出てくると思います。ぱっと見ではなく、よく数字を見ながら考えて投資することが重要だと思います」

ちなみにこの物件は、売り出し価格7000万円のところ、大幅な指値に成功し、5400万で購入した物件だ。指値交渉を成功させた経緯については、こちらの動画をチェックしてほしい。

物件2:群馬県伊勢崎市のアパート

 

【物件概要】
木造アパート
所在地:群馬県伊勢崎市
築年数:29年(購入時)
購入時期:2020年9月
購入価格:900万円(現金購入)
年間家賃収入:167.8万円
表面利回り:18.6%
戸数:4戸
間取り:メゾネット
購入した経緯は、管理会社からの提案。中島さんはこの物件の隣に重量鉄骨の物件を所有しており、その物件を管理する管理会社から今回の木造アパートを紹介されたそうだ。

中島さんによれば、近隣に物件を持つことで管理の効率が上がるという。巡回がしやすく、土地の状況や賃貸需要を把握できることに加え、親しい管理会社にまとめて管理を依頼できるからだ。

購入時の懸念点については「特になかった」と話す。購入前に外壁塗装会社やリフォーム会社に物件を見てもらい、屋根の一部を除いて塗装や修繕は必要ないと言われたためだ。

また、この物件は接道が私道のみになっているが、その点も特に気にしなかったという。建物が老朽化によって稼働できなくなれば、解体して土地を売る方針なので、仮に再建築不可だったとしても気にせず購入したと思う、と語る。

 

室内はメゾネットタイプで、1階の奥に2階へと続く螺旋階段がある。手前には、3つ口コンロ付きのキッチンが設置されている。

トイレの温水洗浄便座、エアコン、モニター付きインターホンなどの設備は、プロパンガス会社に依頼して設置してもらった。プロパンガス会社の中には、競争力を高めるため設備の設置に力をいれている会社もある。そういった会社を管理会社から紹介してもらい、管理会社を通じて交渉を進めるケースが多いのだという。

投資エリアを決める基準は?

この物件が位置する伊勢崎市は、群馬県の中でも人口減少が少ない。近隣に前橋や高崎などの都市があり、地価も安いため、一定の人口の流入があるのだと中島さんはいう。

中島さんのモットーは地方で安く貸すことだというが、「家賃が2万円を切るエリアには投資しない」と決めている。管理費が少額になるため管理会社から敬遠されがちなことに加えて、入居者の質が悪くなる懸念があるからだ。そのため、家賃3万円以上を目安にエリアを選定しているのだという。

物件の収支は

現在の家賃収入は、満室時で月13万9900円で利回りは18.9%。実家賃を93%として、管理費5%、その他の諸経費、修繕費を差し引くと、利益は161万円ほどだ。

家賃下落率や大規模修繕を考慮して計算すると、購入から31年で、運用益が2952万円ほどになる。築70年になると3800万円ほどになる計算だ。他の物件と同じく、建物の老朽化が進んで稼働が難しくなるまでは保有し、最終的には更地にして売却する予定だという。中島さんは「規模が小さくても、きちんと利回りの出る物件を選べば利益を出すことができます」と語る。

今回は、中島さんに保有する2つの物件を紹介してもらい、購入理由やリフォームのこだわり、管理の方法について語ってもらった。中島さんのノウハウを、ぜひ自身の物件購入や賃貸運営に役立ててほしい。