その1 代表者の経歴
まず大事になってくるのが代表者自身の経歴です。
例えば飲食店を立ち上げようとしているとしましょう。
そうなった時にあなたの経歴が
「社会人として10年間働いていたが、オフィス用品の営業職として勤務していた」のような飲食店と全く関係のない職業だったしましょう。
そうすると融資を受けれる確率は非常に少なくなります。
なぜなら今まで飲食店の経験が全く無いのになぜあなたは飲食店を立ち上げたいのですか?という合理性が存在しないからです。
経歴は金融機関と面談する上で必ず話す大事な要素となりますが、立ち上げる事業と全く関係の無い経歴だと、いくら素晴らしい事業計画を持っていっても経験不足を理由に融資を断られてしまいます。
逆に言うと「今までオフィス用品の営業をしており、常に営業成績もトップクラスで既に取引先の見込みも何社かある」というような状態で創業すれば事業計画が少し粗があっても経歴部分を評価されて融資を受けることが出来る可能性もあります。
誰が見ても「この人がこの事業で独立するならまあ問題ないな」というような経歴を作り上げることが出来るかどうか意識しましょう!
日本政策金融公庫が自己資金として認める6つの定義
先程のメッセージで取り上げた以下の3つ、自己資金として認められると思いますか?
・タンス預金
・給付金
・相続で受け継いだお金
実は3つとも自己資金として認められることはありません。
日本政策金融公庫、地方銀行ともに自己資金として認めてくれるのは以下の6つ。
(1)自分自身の通帳で徐々に貯めた預金
(2)配偶者名義の通帳にある預金
(3)解約返戻金がある保険、お子さんの学資保険
(4)退職金
(5)保有している株式、投資信託、有価証券
(6)すでに事業のために使ったお金
となります。
そのためタンス預金、給付金、相続による資産などは自己資金として認められることがありません。
なぜかと言うと自己資金として認められるのは【自分で貯めてきたお金】のみだからです。
給付金や相続による資産は自分で貯めてきたお金ではありませんよね?
そのため自己資金としては認められないのです。
ではタンス預金はどうか、というとこれは【自分で貯めてきたことを証明できない】ので自己資金にはならないのです。
例えば今タンス預金として100万円持っていたとしましょう。
そのタンス預金は実際にコツコツと貯めてきたお金だとしても、どのようにして貯めてきたことを証明出来ますか?
金融機関からするとその100万円が両親から借りたお金か自分で貯めてきたお金か見極めることが出来ません。
そのためいくらタンス預金で現金を保有していたとしても、銀行口座に預金として貯めてきた履歴が無いと自己資金として認めてくれないんです。
もしあなたの創業が今すぐではなく、更にタンス預金として貯めてきたお金があるなら創業までに銀行口座に毎月貯めていきましょう。
生活費はタンス預金から捻出し、給料はそのまま銀行に預けていけば半年後にはある程度の金額が貯金出来ていますよね?
逆に今すぐ事業を始めるけど、自己資金はタンス預金のみ、という方の場合は融資が難しくなってしまうとお考えください。
めんどくさい事業計画書はなぜ必要?
事業資金を借りる上で事業計画書は必ず必要になります。
ですが、なぜ事業計画書が必要なのか目的を考えたことはありますか?
事業計画書の目的は融資を獲得するために銀行に提出するためだけではありません。
事業計画書を作る目的は2つあり、
・事業を推進するための地図
・銀行から融資を獲得するためのツール
という目的があります。
事業を推進するための地図
事業計画書は個人事業主、法人問わず、これから事業を行っていく時の地図です。
事業計画書を作成しないと、地図のない状態で冒険に出ているようなもので、そんな状態では頭の中にふわっとした方向性しか定まっておらず、フワッとした経営になってしまうのは当然ですよね?
逆に事業計画書という地図があれば、
事業計画書に沿って事業を展開することが出来るようになります。
常に事業計画書のことを頭に思い浮かべながら、計画とは違っていないか確認することが出来るので、事業成功の確率も格段にあがります。
実際に年商1億以上の会社経営者約40人にヒアリングしたところ、事業計画書を作ったことがない人は一人もいませんでした。
また創業期には事業計画書など作ったことが無く、当時は必要性を感じていなかった経営者ほど、いざ事業計画書を作ったときに、なぜ創業期に事業計画書を真剣に作らなかったのかと後悔していました。
銀行から融資を獲得するためのツール
一方経営していくための地図としての方針とは別に銀行に提出するためのツールとしても事業計画書は必要となります。
銀行に対して事業計画書を提出しなければならない理由は
・銀行にあなたの事業の内容を分かりやすく説明するため
・事業計画書の質でその人の事業に対する本気度を見ている
という2つの点が大きく挙げられます。
そもそもの話ですが、銀行員が事業のことをよく分かっていると思っていますか?
残念なお話しですが、ほとんどの銀行員は事業のことなんてよく分かっていません。
半沢直樹のような銀行員はほとんどおらず、
銀行員はマニュアルに従ってあなたの事業に融資することが出来るかどうかを
機械的に判断することがほとんどです。
でもそれは銀行員が悪いわけではなく、そういうものなのです。
銀行では日々何十件と融資希望の会社が問い合わせを行い、対応に追わています。
そのような状況でそれぞれの業種に対して
実際に事業のことを理解しろ、という方が難しい話ではありませんか?
更に言うと創業期の融資において、ベテランの銀行員が対応することはほとんどありません。
残酷な話ですが、銀行も融資はビジネスで行っており、
金利を払ってもらうことによって売上を立てています。
仕方の無いことですが、創業融資は通常の融資と比べて融資金額が少なく、
1000万くらいの融資では新人や2,3年目の担当者が対応することがほとんどです。
もし事業計画書をしっかりと作り込んでいない状況で
銀行に対してあなたの事業を理解してもらうことは可能でしょうか?
答えはもちろんNoですよね。
銀行に対して自分の事業を説明する時は
【働き始めたばかりの新卒に対しても理解が出来るようにビジネスモデルを単純にし、どれだけ事業のことを簡潔に説明出来るか】
が重要になってきます。
事業計画書はめちゃくちゃ大切です!
以上の
・事業を推進するための地図
・銀行から融資を獲得するためのツール
という点で事業計画書の作成は創業時、開業時にとても大切な作業になります